『その後の彼女』 presented by iwajawa★(thank you!)



とあることがキッカケで彼女はつまづいた。
焦り。不安。恐れ。
いろんなさまざまな感情が彼女の中を徘徊する。
「ワタシはこれからどうすればいいの?」


そう。何をすべきか。
責めるべきは自分か。相手か。
自分のやってきたことを反芻してみる。
正しかった?間違ってた?あたしが?彼が?どっちが?
考えても考えてもわからない。


何が悪かったのか。こうなった原因は何なのか。
咄嗟にゴミをあさる。
何か。何か。何かあるはずだ。
レシート。回数券。コンビニの袋。メモ用紙。
これといって何も無い。

・・・電話。
そう。深夜に電話があった。
あれはいつ?何日前?
履歴を見ればわかる。・・・載ってない。
消した?わからないように?
それともあの電話は携帯だったかしら。。。


不安。不安。不安。
安穏な生活の崩落は大きな刺激とともに彼女の何かも
失われつつあった。


「繋」



信頼し合っていたはずだった。
お互いのことわかってるはずだった。
全てがうまくいってると思ってた。
・・・でも崩壊した。


ひとつの不安材料は、
彼女をどんどん暗のほうへひっぱり込んで出口を塞いで行く。
想像しなくていいことを想像してしまう。
最悪のケースだ。
自分なのに自分がいなくなっている。
見失う。戸惑う。爪を噛む。焦燥。後悔。


何も出来ない。

ぽつんと真っ白い部屋にひとり閉じ込められた気分。

「出口を探さなきゃ。」


ひとりごちて、
彼女は机に向かう。
彼の名刺を探す。
始めてかける電話番号に手が一瞬躊躇するが、
迷った末、番号を押す。


「○○は、ここにはおりませんが。」


(部署が代わったなんて、知らなかった。
 一言、言うべきなんじゃないかしら。)


「どなたさまですか?」


ここで名前を語れば笑いものになってしまう。
間違い電話のように、すぐさま電話を切った。


「繋」



何も繋がっていなかった。
彼はひとりだった。
そしてわたしもひとりだった。
一緒に暮らせば繋がると思ってた。


『じゃあこれは一体何なのだろう?』



動揺して、コーヒーを倒してしまう。
真っ白なテーブルクロスにどんどん広がっていくシミ。
布はどんどん重みを増す。
どんどん重くなるそれは彼女の心と同じだった。


呆然と。
彼女はただ呆然と見つめるだけで、
それを動かすことは出来なかった。


天井を見つめる。考える。ただ、ぼうっと。


ただひとつわかったことは
こんなことで動揺できるんだ・・・、と
彼への想いを知ることだった。


『未解決』








                     0.1mm side story