「あんなに私たち親友だよねって言ってたじゃない、嘘つき!」


おお、おお、女のヒステリーは怖いね。
しかし・・・何が嘘だというのだろう。


あんたの男はアタシを口説いた。 
3人で一緒に飲んだ翌日に電話をかけてきて、
個人的な相談があるからと理由をつけ、ホテルに連れ込んで
アタシをヤった。下手糞だったね。
ただべたべた舐め回し、勝手に突っ込んで勝手に果てた。

 
それを寝取ったといわれても、
アタシは誘いもしてないし、拒否をしなかっただけだ。

 
・・・イヤ、それは嘘だ。
あんたを当然のように抱くアイツ、
あんたをどう扱うか、女として知りたかったんだ。

 
「どうしてなの?何で邪魔するの?
 恋愛を聞いてもらって一緒に悩んでガンバってって
 励ましてくれるのに、どうして私のものを横取りするの?」

 
もの?


所有できる人間なんて居やしないよ、カワイイお嬢さん。
そんなに縛り付けておきたければ、
首輪でもつけて引き綱をしっかり持っておくことだね。
本当の絆は、所有欲から生まれるものじゃないのだけど。

 
「…それとも彼のことが好きになった? 辛いな…。
 彼に聞くしかないのかな、どっちが好き?って。」



アタシが好きなのは、あんただ…!




その綺麗な髪を延々と撫でて、頬を寄せて香りを嗅ぎたい。
ぷくりと色づくつややかな唇に優しく、激しくキスしてみたい。
そのふくらみに当然のごとく触れることも、許されないアタシ。
きめの細かい肌に身体を寄せて、
ぬくもりを分かち合える男が憎らしい。


ただ“オトコ”だというだけで。

 
「…何も、否定しないんだね。ヒドいよ。友達だと思ってたのに。
 ごめん、ちょっともう連絡できない。信じられないよ。」


席を立ち、振り返ることも無く去っていくあんた。
叶うことの無い恋を抱える人間の辛さを
分からない人間は幸せだ。
友達として傍に居ることも選べないのなら、
憎まれて恨まれて嫌われていく存在で居た方がいい。


 
エイプリル・フールに、実際にあったことを言い、
気持ちに嘘をついた。
逆にすれば、良かったんだ。馬鹿なアタシ。


 
涙を飲み込むようにして、メンソールを吸い込んだ。







                          la la la Liar!