Amnesia Series

通し番号として「Amnesia Act.」が付きます。
全てコピー本、定価300円となります。

Act.1 Knuckle Duster

表紙イメージ

作・Shino Inno
表紙イラストレーション・北羽ナガル



1ページ目お試し読み



Sto cercando un uccello blu...

この界隈に来て、初めて自分が優しさを受け取ることが出来た言葉。

(大丈夫ですか?)

日本は昔、ヒドいことを私たちにしたけれど、 お金がたくさん稼げる国。
十五になった年、村長さんがまたとない儲け話を持ってきた。
日本の働き口を紹介する人を連れてきて、三年間だけの契約で日本で働かないか、と。
その報酬の額は、父母が中国で得る年収の数十倍もの値段で、
誰も反対などするわけがなかった。海を渡ってお金を稼ぎ、また戻る。
 

そうすれば、うちの家族丸ごとがかなりの間、食べるものには困らない。
手荷物をまとめていると、身一つで行けと村長さんが言った。
送金先を書いた紙切れ一枚。後はほとんど何も、持つことが出来なかった。


兄が港まで一緒に来てくれた。
「辛いこともあるだろうが、がんばれ」と優しい笑顔で。



何故だか分からないけれど、客室ではなく、暗い船底に連れて行かれた。
道中長くなるが、危険なので物音を出すことは厳禁だと諭されて
同じ年頃の女の子たちと一緒にずっとうつらうつらしていた覚えがある。

食事は出ない。水も最低限しか口に含むことが出来ない。
月も出ない曇天の黒い雲が海に満ちる夜、出迎えの明かりは無い。
暗い湾岸に横付けされた車に、追い立てられるようにして乗り込んだ。
長い長いドライブ。窓には目張りがきっちり施されている。
ひとりにひとつ、携帯用のトイレというものを渡されたが、
人目のあるところで用を足す気にはなれなかった。
外の風景を見ることは許されなかったが、私たちは振動に悩まされることなく
平坦な道をずっと運ばれた。


仕事のある国。同郷の子たちとは比べ物にならないくらいの私は高給取りになる。
選ばれて来たのだから、多少の苦労は覚悟の上。



心を決めて私は、東京の地にやってきた。




続きは本小冊子にてどうぞ










Act.2 Palazzo Segreto for Adults

表紙イメージ

作・Shino Inno
表紙イラストレーション・北羽ナガル




1ページ目お試し読み




 朝鳥のさえずりが聞こえる前に、執事は既にその身なりを整え始める。
髭を当て、髪を梳かし、ドレープの効いた柔らかな生地の白シャツに袖を通し、
プレスがしっかりかかったスラックスを穿き、その鍛えられた身体を固定するような
ベストを付け、ジャケットを羽織る。
スーツの濡れ羽カラスの色艶やプレスを鏡で一瞥し、確認する。
懐中時計は手放せず、タイチーフがしっかりと美しくその首元を飾れば、
その日一日は何事も無くスケジュールが終わるような気がしている。


 バトラー・リョウ・サエバ。その過去を知る者は多くない。
しかし、イジュウイン伯爵家においての彼の有能さはこの国の社交界に名を轟かせ、
彼のアテンドを望むものは少なくなかった。
望まざるその名声を街に出て聞く度に、バトラーはひっそりと嘆息する。
己の身に降りかかる権謀策術より逃れるようにして
この閑静の地へ逃げてきたというのに、と。


 磨き上げた靴を履き自室を出ると、丁度真向かいの使用人私室のドアが開き、
そこからチーフメイドのサエコ・ノガミが音も無く滑り出てきた。
彼女はサエバと同じ時期に伯爵家にチーフとして最初から迎え入れられた者で、
職場におけるサエバの片腕のような、ライバルのような不思議な関係にある。


どのような寝姿をしているのか全く想像のつかない完璧な身支度は、
頭の先のメイド帽からアイロンの効いたエプロンに至るまで、隙というものがない。
お互いの過去を薄々感じつつも詮索を許さない、
美しく冷たい雰囲気を漂わせる彼女であるが、
その内面は自らと同じく激しいものを秘めているのだとサエバは感じている。


「おはようございます、サエコ。お早いですね」
「おはようございます、サエバ。今日も手抜きの無いお姿ですこと。
 では本日も宜しく。朝礼の打ち合わせはいつものとおりですわね」
「はい。それまでの皆様のお支度、いつもと変わりありません」
「わかりました。ではわたくしはカオリ様の方を」


 踵を返すノガミ。濃紺のメイドスカートが優しく広がる。
内側から立ち昇るローズの香りがサエバの鼻腔をくすぐる。
見えないはずの白いガーターベルトが視界によぎる。


これがメイドか?


足を見せることも無く、空気に満ちる気配だけで男を篭絡することなど
容易な同僚に一瞬サエバは酩酊する。
朝だというのに、甘い戒めの夜を思い起こさせる。
硬質な床を歩くローヒールの音が全く聞こえないまま、
彼女は自らの仕事へと去っていった。
首を振り、肩を回し、サエバは執事の顔を取り戻した。




続きは本小冊子にてどうぞ






Act.3 for Adults(委託販売)


「想」表紙イメージ

作・たまごっつ
イラストレーション・チョコモカ




Act.4 for Adults(委託販売)


「宵」表紙イメージ

作・たまごっつ
イラストレーション・チョコモカ


C73 Special omake goods(配布終了しました)

美味しそうなファンシーアイテム

アイテム写真