F.A.SS -
「鋼の錬金術師」の二次創作
【基本のエドロイSS】 -
原作をベースにした、エドロイSSです。
時系列順に並んでいます。
(下に行くほど後の出来事になります。)
誰がために - (まだロイの片想い)08.06.25up
- (両想いでもお互い気付かない)08.6.26up
水の中の月 - (告白)08.6.29up
- 08.6.30up
- (初めての触れ合い。大佐が咥えるのみ)08.7.1up
- (初体験)08.7.11up
蹟(しるし) - (大佐から初めてのキスマーク) 08.7.16up
シチュー - (大佐が熱を出さなくなったあたり)08.7.16up
- (大佐が壊れてます。ちょっとギャグ)08.7.22up
フソク - (豆がいないと闇がぶり返す大佐)08.7.22up
摂取 - (「フソク」の続き。相変わらず闇に囚われている大佐と帰ってきた豆)
08.7.22up
Turn R
Turn E
幕間 - (ごめんなさいなギャグ)
08.8.8up
- (ヤってるときのエドVer. 「虚」と対になってます。)
08.8.8up
- (ヤってるときのロイVer. 「彩」と対になってます。)
08.8.8up
- (「虚」の続き。どーしようもなくグダグダなロイ)
08.8.8up
- (兄さんと酔ってご機嫌の大佐。未然ジェラシー)08.10.25up
- (鬼畜い兄さん♪後、ヘタレ)08.10.25up
【遊 シリーズ】 -
パラレル。税務署長のロイと税理士のエド。

このSSは途中からRPG方式で、「遊」(ロイエドVer.)と「遊 脇道」(エドロイVer.)に枝分かれします。
但し、「遊 脇道」は「遊」本編と「遊 番外編」数本を包括した入れ籠構造になっておりますので、
「遊」→「遊 番外編」→「遊 脇道」の順に読まれることをお奨めします。
その順番にupして行きます。

「遊」vol.1〜vol.9 - 「遊」「遊 脇道」とも枝分かれするまで共通です。
「遊」vol.1 - 08.11.12up
「遊」vol.2 - 08.11.12up
「遊」vol.3 - 08.11.13up
「遊」vol.4 - 08.11.13up
「遊」vol.5 - 08.11.13up
「遊」vol.6 - 08.11.16up
「遊」vol.7 - 08.11.16up
「遊」vol.8 - 08.11.16up
「遊」vol.9 - 08.11.16up
「遊」 Vol.10以降(ロイエドVer.) -
ロイエドがお嫌いな方も、これはこの後のエドロイver.がこの「遊」のロイエドバージョンを含んだものですので、お読み戴ければ幸いと存じます。

「遊」vol.10 - 08.11.19up
「遊」vol.11 - 08.11.19up
「遊」vol.12 - 08.11.19up
「遊」vol.13 - 08.11.19up
「遊」vol.14 - 08.12.7up
「遊」vol.15 - 08.12.7up
「遊」vol.16 - 08.12.7up
「遊」vol.17 - 08.12.7up
「遊」vol.18 - 08.12.7up
「遊」vol.19 - 08.12.7up
「遊」vol.20 - 08.12.7up
「遊」vol.21 - 08.12.12up
「遊」vol.22 - 08.12.12up
「遊」vol.23 - 08.12.12up
「遊」vol.24 - 08.12.12up
「遊」vol.25 - 08.12.12up
「遊」vol.26 - 08.12.12up
「遊」vol.27 - 08.12.12up
「遊」vol.28 - 08.12.12up
「遊」vol.29 - 08.12.12up
「遊」vol.30 - 08.12.12up
「遊」vol.31 - 08.12.16up
「遊」vol.32 - 08.12.16up
「遊」vol.33 - 08.12.16up
「遊」vol.34 - 08.12.16up
「遊」vol.35 - 08.12.17up
「遊」vol.36 - 08.12.17up
「遊」vol.37 - 08.12.17up
「遊」vol.38 (これで完結です) - 08.12.17up
「幻」 (「遊」 番外編)(エドロイ) - 08.12.17up - (旧テレビアニメのラストから映画シャンバラのその後。ロイVer.)
「惑」 (「遊」 番外編)(エドロイ) - 08.12.17up - (旧テレビアニメのラストから映画シャンバラのその後。エドVer.)
「遊 脇道」(エドロイVer.) - 「遊」Vol.10以降
こちらはエドロイバージョンのうえ、ロイが精神的に壊れてしまっています。
しかも暗いです。
弱いロイが厭だという方はお読みならないで下さい。
「遊 脇道」Act.1 - 08.12.17up
「遊 脇道」Act.2 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.3 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.4 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.5 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.6 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.7 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.8 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.9 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.10 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.11 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.12 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.13 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.14 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.15 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.16 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.17 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.18 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.19 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.20 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.21 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.22 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.23 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.24 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.25 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.26 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.27 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.28 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.29 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.30 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.31 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.32 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.33 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.34 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.35 - 08.12.26up
「遊 脇道」Act.36 - 08.12.26up
「遊 脇道」Act.37 - 08.12.26up
「遊 脇道」Act.38(とりあえず完結ですが、「澱」へ続きます) - 08.12.26up
「澱」 (「遊 脇道」完結話) - 08.12.26up - (「脇道」のロイVer. これで「脇道」の本編は終わりになります)
「寥」 (「遊 脇道」 番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (「幻」の割愛部分)
「仕」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (駅前相談するセンセイ)
「誤」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (ある日税務調査が…)
「加」 (「遊」番外編 エドロイでもどっちでも) - 09.1.7up - (本編に入れ忘れた生協の小ネタ)
「罪」 (「遊 脇道」番外編) - 09.1.7up - (そして今2人は)
「問」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (そして今2人はその2)
「策」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 16.12.29up - (あの夜の男は)
【その他 ロイ受】
「戯」 (ブラロイ) - 09.1.7up - (ロイにホムンクルスと知られ、別れを告げるブラッドレイ)
「蓮」 (キンロイ) - 09.1.7up - (イシュヴァールにて。意外にほのぼのかと…。)
「痴」 (エドロイ)(単発) - 09.1.7up - (淫乱ロイの純情)
「羞」 (エドロイ前提ハボロイ)(「痴」シリーズ?) - 09.1.7up - (「痴」の続編。エドを愛しているロイだが、ハボに…。いや、ハボは被害者なのですが。)
- 上下につながりはありません
「紅」 (エドロイ) - 09.1.7up - (久しぶりに司令部に来た兄さん)
【単発 ロイエド】 - (焦れたロイにレイプされるエド。18禁のレイプものですんで、ご注意下さい)
「赦」 Act.1 - 09.1.7up
「赦」 Act.2 - 09.1.7up
【単発 ハボロイ】
「憂」 - 14.10.16.up - (ロイとハボックの阿呆らしいすれ違い)
「今更」 - 09.1.7up - (自分の想いに気付くロイ)
「蜜」 - 09.1.7up - (恋人になった後。エロシーンばっか)
「背」 - 09.1.7up - (ハボの背中に惹かれるロイ)
【「錯」シリーズ】 - ハボロイオンリーです。
イシュヴァールでの経験がロイに与えたものは…。
- 今はなき某数字SNSで、2007年9月から書いていたものです。
「錯」 Act.1 - 09.1.7up
「錯」 Act.2 - 09.1.7up
「錯」 Act.3 - 09.1.11up
「錯」 Act.4 - 09.1.11up
「錯」 Act.5 - 09.1.12up
「錯」 Act.6 - 09.1.16up
「錯」 Act.7 - 09.1.16up
「錯」 Act.8 - 09.1.17up
「錯」 Act.9 - 09.1.17up
「錯」 Act.10 - 09.1.18up
「錯」 Act.11 - 09.1.20up
「錯」 Act.12 - 09.1.21up
「錯」 Act.13 - 09.1.24up
「錯」 Act.14 - 09.1.27up
「錯」 Act.15 - 09.1.29up
「錯」 Act.16 - 09.2.1up
「錯」 Act.17 - 09.2.6up
「錯」 Act.18 - 09.2.12up
「錯」 Act.19 - 09.2.15up
「錯」 Act.20 - 09.2.20up
「錯」 Act.21 - 09.2.26up
「錯」 Act.22 - 09.3.9up
「錯」 Act.23 - 09.3.13up
「錯」 Act.24 - 09.3.20up
「錯」 Act.25 - 09.3.26up
「錯」 Act.26 - 09.4.7up
「錯」 Act.27 - 09.4.21up
「錯」 Act.28 - 09.5.6up
「錯」 Act.29 - 13.5.21up
「錯」 Act.30 - 13.5.22up
「錯」 Act.31 - 13.5.23up
「錯」 Act.32 - 13.5.26up
「錯」 Act.33 - 13.5.31up
「錯」 Act.34 - 13.6.2up
「錯」 Act.35 - 13.6.17up
「錯」 Act.36 - 13.6.19up
「錯」 Act.37 - 13.6.26up
「錯」 Act.38 - 13.7.11up
「錯」 Act.39 - 13.7.14up
「錯」 Act.40 - 13.7.19up
「錯」 Act.41 - 13.7.27up
「錯」 Act.42 - 13.8.13up
「錯」 Act.43 - 13.11.22up
「錯」 Act.44 (完結) - 13.11.26up
「聴」 (『錯』番外編) - 最終話後、ツケを支払に行くロイ。
Vol.1 - 17.1.7up
Vol.2 - 17.1.7up
【瑠】シリーズ - 【注意書きです】
これはいつものロイエドロイと、また原作とも異なるパラレルのロイエドロイSSです。
(すみません!最初間違えて『ロイエド』と書いてましたが、ロイエドロイです。)
原作またはアニメ設定以外受け容れないと言う方はお読みにならないで下さい。
最初は「人魚」のタイトルでしたが、後に「瑠」にしました。
「瑠」 Act.1 - 16.12.30up
「瑠」 Act.2 - 17.1.1up
「瑠」 Act.3 - 17.1.3up
「瑠」 Act.4 - 17.1.11up
Gift - 頂き物など
取調室にて -
ヒューズ×ロイ from 志乃さま
give me more -
ヒューズ×ロイ from 志乃さま
> 【遊 シリーズ】 > 「遊」 Vol.10以降(ロイエドVer.) > 「遊」vol.11
「遊」vol.11
08.11.19up
くちゅ。
男とオレの舌が触れ合う音が響く。
怯えて舌を差し出せないオレの口中に男の舌が差し込まれ、歯列を辿った後に上あごを舐めてオレの舌に絡んでくる。
もう、これは口腔を犯されているのだと実感する。
全てを男は侵蝕するつもりなんだろう。
それから逃げる手だてはもう無い。
「ん…ふ…。」
イヤなのにどうしてこんなに感じるのだろう?
自分の躰が自分を裏切っていく。
この男のせいで。

オレはこの男をどう思っているんだろう?
今まで逃げるばかりで考えたことがなかった。
忘れることを許されない人間だとは思う。
どんな知り合いより、心の深いところにいる。
今ならそう思える。
今までは解らなかったけど。

それでもこの想いが恋愛感情だとは思えない。
思いたくない。
オレは…。
オレは正常な男なんだから。
心のどんな奥深くに男が根付いているのだとしても。

「や…っ!」
耳たぶを甘咬みされて息が挙がる。
こんな女みたいな反応はイヤだ。
それでも気持ちいいと思ってしまう自分はもっとイヤだ。

男の舌が耳から首筋を伝って鎖骨へと降りていく。
それに伴ってびくびくと震える躰が疎ましい。
オレはこの男を好きなんじゃないのに。
なのに感じる自分はなんなのか?

胸の先に男の舌が触れる。
「あっ!い…やだ…!」
止め処もなく突き抜ける悦楽。
男の舌が触れることで既に硬く立ち上がっていたことが自分で解ってしまう。
ねっとりと舐め上げられて、息を飲んだ次の瞬間に歯を立てられた。
「んぁ…ぁ!」
脳髄に響く快感。

仰け反った腰が男のモノに触れてしまう。
それは恐ろしいほど屹立していて。
「あ…ゃ…!」
これをオレの中に挿れられる!?
氷を背筋に押し当てられたような恐怖を感じた。
「や…も…やめ…!」
「やめないよ。ずっと…ずっとこうしたかった。君に触れたかったんだ。」
譫言のような男の声。
声すらもオレを震わせる艶を持っていて。
男の唇の触れているところが熱くなる。

イヤだ。
もう放して欲しい。
もう。
終わりにして欲しい。
こんな思いをするほどの罪を、ナニをオレは犯したと言うんだ?
どうしてこんな目に遭わなくちゃいけないのか?
それでもひくひくと全身が戦慄く。

オレのモノが男の舌を受け止める。
全身がその濡れた感覚に震えた。
「や…っ!…ぁ…んっ!」

その時、快感以外の感覚がオレを襲った。
オレの奥の排泄にしか使わない器官。
そこに男の指を感じた。
「いや!やぁぁあ!止め…っ!」
男の指に粘性の液体が付けられているのは解った。
それでもその感覚はオレを怯えさせた。
「や…だ!やめ…やめてくれ…!」
ぬるりと男の指がオレの中に入り込む。
と同時にオレのモノが男の口に咥え込まれる。

そこまではどこか遠い感覚だったのに、男の指が蠢いた途端、オレの意識はムリヤリ覚醒させられた。
さっきまではまだ自分を誤魔化した感覚でいられたのに。

「ごめ…。悪かっ…あ…っ!
 オレ…イヤだ…。ヤなんだよ…!」
往生際が悪いと言われてもしかたがない。
でもイヤなモノはイヤなんだ。
もう留めることの出来ない涙が溢れて零れる。
「ごめんなさい…。お願い…やめて…っ!」

オレは男なんて受け止めたことなくて。
そうしたいと思ったこともなくて。
男の口腔が快感をもたらして、男の指がオレの中で蠢くことに嫌悪感はなくても怖くて。
怖い。
そうだ。怖いんだ。
この感覚が。
だって今までこんな最奥に触れられたことも、躰を開かれたこともない。

「や…いやだ!ごめんなさい!許して…お…お願いだ…!」
「…聞けないね。そんな願いは。」
オレのモノから口を離した男の冷徹な言葉が聞こえる。
「君が欲しい。君を感じたい。」
再びオレのモノが咥えられ、オレの中に入る指が増やされる。
悲鳴をあげるほどの痛みではないが、恐怖心が煽られる。
「許して…ぇ…っ!あっ!や…!」

みっともなくてもなんでもとにかく怖いんだ!
涙に翳んだ目で男の顔を見る。
懇願したくて。
しかし男の瞳に焔のような欲望を見付けてしまって…。
逃げられない自分を確認するだけに終わる。
更に指が増やされた。
「や!ムリ…!お願いだ…。もうやめて…」
「…。」
「嫌…だってば。…ぁ…っ!?」

男の指先が触れたところから思ってもみなかった快感を感じた。
知らず躰が反ったオレの様子に口を離して薄く男が笑った。
「ここか。」
「あっ!や…っ!」
重点的にソコを男の指が探る。
「あっ!な…なに?」
「君の感じる所だよ。」

男の指が触れる度にオレの躰はびくびくと痙攣する。
こんな快感があったなんて。
恐怖からではない涙がこめかみに伝うのを感じた。
「っぁあ!いや…いやぁ…!」
止めようとしても躰の動きが止められない。
「素直に感じたまえ。」
べろりとオレのモノを舐め上げられ、また吸い上げられる。
オレどうなっちゃうんだ!?
「ふ…ぁ!」
イく…。イっちゃう!
こんなの、こんなのヤダ!
「あ…っ…くっ!」
男の口腔に精を放ってしまった。

差し込まれていた指が抜かれ、まだ痙攣するオレの躰に男がのし掛かる。
「センセイ。もうそろそろ私も限界だ。」
「っ!いやだ!」
「君に拒否権はないよ。…もう我慢できない。」
今まで指を受け容れていたところに熱を感じた。
思わずずり上がって逃げようとするが、腰に腕を回されて逃げられない。
「やっ!いやだ!ぁああっ!」
指とは比較にならない質量が無理矢理オレを押し広げて差し込まれる。

「ぁ…やぁぁああ!!!」
痛い痛い痛い!!!
引き裂かれそうな痛みに躰が強張った。
涙があふれ嗚咽で引きつって喉も痛い。
「…っ!」
男の息を飲む音が聞こえた。
なんでつらそう?
つらいのはオレだって言うのに。
見上げると、蒼白な顔に汗が浮かんでる。
こいつもつらいのか?

気を失いたい。
こんなに痛いのに、こんなにつらいのに、男は更に奥まで捩じ込んでくる。
「ぅぁぁああああ!!!」
オレの口から自分でも知らない声があがる。
内臓にムリヤリ押し込まれて、きっとオレの腹ん中、今ぐちゃぐちゃだ。
「っ…!力を抜けない…か?」
相変わらず辛そうな顔で男が聞いてくる。
「む…ムリ…。」
泣いてしゃくり上げる合間に答えた。

「そうか…。息をしたまえ。ゆっくりでいいから深呼吸を。」
息?そういえばあんまり痛いから詰めていた。
ゆっくりと細くだけど息をする。
時折痛みと嗚咽の痙攣で止まってしまうけど。
少し躰から力が抜けてきた。
男もそれで少し楽になったのか、ホッとしたように溜め息を付いている。
「…んたも…つらいの…?」
オレは今、頭が割れそうなほどつらいけどな!
「ああ。君の中がキツくてね。…実はつらい。」
「…なぁ。なら…やめないか?お願いだから…抜いて…」
「やめないよ。」

そうか。やっぱりな。
聞くだけムダだとは分かってたけど。
裂かれるような痛みは変わらないが、ようやく力が抜けてくる。
息。息だ。とにかく息を止めないようにしよう。
そういえば痛みを逃すためには息を止めないのが必要だとかつて聞いた。
あれ?それは出産の時のラマーズ法か?
ウィンリィに聞いたからそうかもな。
幼なじみとはいえ、男にラマーズ法を教える女ってどうなのよ?
現実逃避もそこまでだった。

「動くぞ。つらいだろうが我慢してくれ。」
「え…?は…ぁ…っ!!…ぁあっ!」
男のモノが抜けるギリギリまで引き抜かれ、また奥に突き込まれる。
あまりの痛みに
『これなら気を失えるかも。』と
逆に希望が持てるくらいの衝撃が襲って来た。

オレ絶対壊れる。
この男に壊される。
こんなこと、耐えられる訳がない。
「あっ…!はぁっ!」
突き上げられる度に強制的に声が吐き出される。
どうしてこんなことになったんだろう。
オレがナニをしたという理由でこんなに神様に嫌われてるんだろう。
そう思いながらオレは意識をようやく手放した。



「ん…。」
眠りから覚めた。
オレにはよくあることだ。
夜中に目を覚ますのは当たり前のことで。
ふと、横を見ると男が目に入った。
じっとオレの顔を見ている。

「ん?どうかしたのか?」
問いかけると
「大丈夫か?」
心配そうな声が聞こえた。
「あ?なにが?」
男の方に寝返りを打とうとして
「ってぇー!」
腰が痛くて声を挙げた。

その瞬間、男にされたことを思い出した。
オレの日常はもはや手の届かないものになっていた。
それに気付いた時、オレの目から涙が溢れてきた。
オレ、幸せになりたかったな。
溢れた涙を男が唇で受け止める。
男の手はオレの髪をそっと梳いている。
こんなに優しい仕種のこいつは、本当にさっきまでの男と同じ人間なんだろうか。

「具合は…どうだ?」
声までが違う人間のようだ。
暖かい声。
「腰とケツが痛てぇ。」
「他には?」
「あ?」
他?他にもなんかされたのか?
「頭痛や腹痛、吐き気はないか?」
「ん?特にないな。」
「寒気や悪寒は?」
「ない。大丈夫だ。…問診かよ?」
ちょっと笑ってしまった。
心配してくれんのかな。
そりゃ、すんげぇつらかったけど。

「ああ。まだ続けられるかどうか知りたいからね。」
「!」
躰が強張った。
まだ!?まだ終わりじゃないのか?
あんなことをまたされる!?
「…ゃ…いやだ…!」
声が震えた。
男がオレを抱きしめる。
逃げたいのに、躰が動かない。
「抱き潰すと言っただろう?」
低い声が耳元で聞こえた。

「やっ!ヤダ!放せ…。も…やめて…。お願い…!」
オレの躰はがくがくと震えていた。
「頼むから…お願いだから…!もう…許して…。」
嗚咽しながら懇願する。
あんなことまたされたら本当にオレは壊れてしまう。
躰もきっと心も。
あんな暴力には耐えられない。

「お願い…。もう放して…。」
男は抱きしめたままなにもせず、ただオレの髪をそっと撫でている。
「こんなに怯えさせてしまったか。」
ため息と共に呟きが聞こえた。
当たり前だ。
怯えずにいられるか?

「お願…」
「すまなかった。嘘だよ。」
「…え?」
嘘ってなにが?もうやめてくれるのか?
オレの頬に男の両手が添えられ、真っ直ぐに見つめられる。
「つらい思いをさせてすまなかった。痛かっただろう?
 どうしても不安で、君を求めることを抑えられなかったんだ。
 本当にすまなかった。
 もう最後まではしないよ。ただね。」
ただ?ただなんだ?本当にもうしない?
「私はまだ足りないんだ。君にもっと触れたい。それに…。」
「…それに?」
オレにとってはヤられんのかヤられないのかが重要だ。
オレの進退が掛かってるんだ!
さっさと言え!

「君の初めての夜を痛みと怖さだけで終わらせたくない。
 つらいことはもうしないから、もっと君に触れさせて欲しい。
 君に気持ち良くなって欲しいんだ。」
オレの額に一つキスを落とし、オレの瞳を見つめて
「君を愛している。」
と告げた。

今まで何度も聞いた言葉だけれど、マトモに受け止めたことはなかった。
それはきっと男も知っていて。
「それを感じて、受け止めて欲しい。」
もう一度額に、そして唇にそっと触れるだけのキスを受ける。
うん。あんた順番間違えてるから。
さっきの行為の前にこういうのは持って来いよ。
順番を狂わせたのはオレかもしれないけどさ。


ちゅく、と音を立てて男がオレの人差し指を咥える。
本当に一番神経が集まっているところなんだな、とぼんやり考える。
指の腹を舐め、軽く歯を立てられてぞくりと背筋に震えが走った。
そのまま根元まで咥えられて付け根にやわやわと舌を匍わされる。
継いで中指、薬指と男の舌が舐め上げ咥えて行く。
指を舐めているだけなのに、男の陶然とした表情はとてもいやらしくて。
指に与えられる快感と男の表情になにも考えられなくなる。

小指まで咥え終わって、男が手の甲に軽くキスをする。
そのまま手を返し、手の平にキスをしたかと思うといきなり手首に歯を立てられた。
「っ!」
ナイフで切り裂けば死ねる急所。
それは危うい快感を産み出すところでもあるんだと知った。
軽く跡が付くくらい歯を立てたあとを尖った舌先が舐める。
ふる、と躰が震えた。
そのまま強く吸い上げられる。
「っ…ぁあ!」
びくびくと躰が痙攣した。
なんだ?手首なんかでどうしてこんなに感じるんだ?

「ああ。綺麗だな。君の白い肌に映えるよ。」
男が刻んだ花片のような所有痕がそこには有った。
「おい…。」
どうして付けるに事欠いてそんな見えそうなところに付けるかな
このバカ!!!
っつうか、キスマークなんかつけんじゃねぇえええ!!!

「うん?ほら綺麗だろう?」
「いやだからさ。つけんなよ。んなモン。
 特に見えるところに付けるたぁどういう了見だ?」
ナニを言われているのか解らないという表情で男が
「だって見える所じゃなきゃ意味がないだろう?
 君は私のものだという証(しるし)だ。」
「誰があんたのモンだって!?冗談じゃねぇ!もう離れろ!」


あれから男はオレが泣きやむまで、ずっと抱きしめて髪を撫でていた。
精神が回復しても躰の強張りが抜けなくて、オレが不思議に思ったほどだったが、男はずっとオレに謝罪しながらただ抱きしめていてくれた。

男はまだオレの右手を掴んだままだ。
「まだ始めたばかりじゃないか。
 眠れるようならいつでも寝てしまってかまわないから。」
「だぁあ!眠れるかっ!」
うん。昨日も同じ会話をしたな。進歩の無いヤツ。
「見えないところならいいのか?」
男はオレの右肩の付け根を巡るように舌を匍わす。
「っ!」
そんなところが感じるとは自分でも知らなかった。
鎖骨の少し下を強く吸われて、躰が痙攣する。

どうしてこの男はオレが知らない、オレの感じるところを知っているんだ?
それとも誰しも似たようなところが感じるのだろうか?
そんな疑問が顔に浮かんでいたのだろう。
男がオレを見て、
「君のことならなんでも解るんだよ。」
胡散臭い笑顔で言った。

足もとに下がったかと思ったら、爪先に湿ったモノが。
「うわ!汚いからやめろよ!」
足の指に舌を匍わされていた。
左足首を持ち上げられ、指の付け根を舐められ、指が咥えられている。
その舌の紅さが今更なのに扇情的で。
指の後は甲に舌を匍わせ、踵に歯を立てる。
段々に臑を経て、脹ら脛に手を匍わせ膝にも歯を立てる。
内ももの真ん中にまた証を付けられて声を挙げた。

もうゆったりと受ける愛撫と愛情に包まれて気持ちがよくて。
オレは眠りが近づいてくるのを感じた。
オレの様子に気付いたのか、男がオレの隣まで上がってくる。
「眠れそうか?」
「ん…。今日はいろいろ有ったしな。」
ふわふわと気持ちがいい。
「君も私を愛してくれるかな?センセイ。」
このまま眠れたらきっともっと気持ちがいい。
「前髪…触ってくれたら。」
きっと今なら深く眠れる。
そっと優しく前髪に触れてくる手が気持ちいい。
オレは初めて他人が躰に触れているままで眠りに落ちた。

翌朝、オレは眠る直前までの記憶を失わないことをやはり初めて呪った。




Vol.12


clear
NiconicoPHP