F.A.SS -
「鋼の錬金術師」の二次創作
【基本のエドロイSS】 -
原作をベースにした、エドロイSSです。
時系列順に並んでいます。
(下に行くほど後の出来事になります。)
誰がために - (まだロイの片想い)08.06.25up
- (両想いでもお互い気付かない)08.6.26up
水の中の月 - (告白)08.6.29up
- 08.6.30up
- (初めての触れ合い。大佐が咥えるのみ)08.7.1up
- (初体験)08.7.11up
蹟(しるし) - (大佐から初めてのキスマーク) 08.7.16up
シチュー - (大佐が熱を出さなくなったあたり)08.7.16up
- (大佐が壊れてます。ちょっとギャグ)08.7.22up
フソク - (豆がいないと闇がぶり返す大佐)08.7.22up
摂取 - (「フソク」の続き。相変わらず闇に囚われている大佐と帰ってきた豆)
08.7.22up
Turn R
Turn E
幕間 - (ごめんなさいなギャグ)
08.8.8up
- (ヤってるときのエドVer. 「虚」と対になってます。)
08.8.8up
- (ヤってるときのロイVer. 「彩」と対になってます。)
08.8.8up
- (「虚」の続き。どーしようもなくグダグダなロイ)
08.8.8up
- (兄さんと酔ってご機嫌の大佐。未然ジェラシー)08.10.25up
- (鬼畜い兄さん♪後、ヘタレ)08.10.25up
【遊 シリーズ】 -
パラレル。税務署長のロイと税理士のエド。

このSSは途中からRPG方式で、「遊」(ロイエドVer.)と「遊 脇道」(エドロイVer.)に枝分かれします。
但し、「遊 脇道」は「遊」本編と「遊 番外編」数本を包括した入れ籠構造になっておりますので、
「遊」→「遊 番外編」→「遊 脇道」の順に読まれることをお奨めします。
その順番にupして行きます。

「遊」vol.1〜vol.9 - 「遊」「遊 脇道」とも枝分かれするまで共通です。
「遊」vol.1 - 08.11.12up
「遊」vol.2 - 08.11.12up
「遊」vol.3 - 08.11.13up
「遊」vol.4 - 08.11.13up
「遊」vol.5 - 08.11.13up
「遊」vol.6 - 08.11.16up
「遊」vol.7 - 08.11.16up
「遊」vol.8 - 08.11.16up
「遊」vol.9 - 08.11.16up
「遊」 Vol.10以降(ロイエドVer.) -
ロイエドがお嫌いな方も、これはこの後のエドロイver.がこの「遊」のロイエドバージョンを含んだものですので、お読み戴ければ幸いと存じます。

「遊」vol.10 - 08.11.19up
「遊」vol.11 - 08.11.19up
「遊」vol.12 - 08.11.19up
「遊」vol.13 - 08.11.19up
「遊」vol.14 - 08.12.7up
「遊」vol.15 - 08.12.7up
「遊」vol.16 - 08.12.7up
「遊」vol.17 - 08.12.7up
「遊」vol.18 - 08.12.7up
「遊」vol.19 - 08.12.7up
「遊」vol.20 - 08.12.7up
「遊」vol.21 - 08.12.12up
「遊」vol.22 - 08.12.12up
「遊」vol.23 - 08.12.12up
「遊」vol.24 - 08.12.12up
「遊」vol.25 - 08.12.12up
「遊」vol.26 - 08.12.12up
「遊」vol.27 - 08.12.12up
「遊」vol.28 - 08.12.12up
「遊」vol.29 - 08.12.12up
「遊」vol.30 - 08.12.12up
「遊」vol.31 - 08.12.16up
「遊」vol.32 - 08.12.16up
「遊」vol.33 - 08.12.16up
「遊」vol.34 - 08.12.16up
「遊」vol.35 - 08.12.17up
「遊」vol.36 - 08.12.17up
「遊」vol.37 - 08.12.17up
「遊」vol.38 (これで完結です) - 08.12.17up
「幻」 (「遊」 番外編)(エドロイ) - 08.12.17up - (旧テレビアニメのラストから映画シャンバラのその後。ロイVer.)
「惑」 (「遊」 番外編)(エドロイ) - 08.12.17up - (旧テレビアニメのラストから映画シャンバラのその後。エドVer.)
「遊 脇道」(エドロイVer.) - 「遊」Vol.10以降
こちらはエドロイバージョンのうえ、ロイが精神的に壊れてしまっています。
しかも暗いです。
弱いロイが厭だという方はお読みならないで下さい。
「遊 脇道」Act.1 - 08.12.17up
「遊 脇道」Act.2 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.3 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.4 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.5 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.6 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.7 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.8 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.9 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.10 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.11 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.12 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.13 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.14 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.15 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.16 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.17 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.18 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.19 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.20 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.21 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.22 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.23 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.24 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.25 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.26 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.27 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.28 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.29 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.30 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.31 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.32 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.33 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.34 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.35 - 08.12.26up
「遊 脇道」Act.36 - 08.12.26up
「遊 脇道」Act.37 - 08.12.26up
「遊 脇道」Act.38(とりあえず完結ですが、「澱」へ続きます) - 08.12.26up
「澱」 (「遊 脇道」完結話) - 08.12.26up - (「脇道」のロイVer. これで「脇道」の本編は終わりになります)
「寥」 (「遊 脇道」 番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (「幻」の割愛部分)
「仕」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (駅前相談するセンセイ)
「誤」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (ある日税務調査が…)
「加」 (「遊」番外編 エドロイでもどっちでも) - 09.1.7up - (本編に入れ忘れた生協の小ネタ)
「罪」 (「遊 脇道」番外編) - 09.1.7up - (そして今2人は)
「問」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (そして今2人はその2)
「策」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 16.12.29up - (あの夜の男は)
【その他 ロイ受】
「戯」 (ブラロイ) - 09.1.7up - (ロイにホムンクルスと知られ、別れを告げるブラッドレイ)
「蓮」 (キンロイ) - 09.1.7up - (イシュヴァールにて。意外にほのぼのかと…。)
「痴」 (エドロイ)(単発) - 09.1.7up - (淫乱ロイの純情)
「羞」 (エドロイ前提ハボロイ)(「痴」シリーズ?) - 09.1.7up - (「痴」の続編。エドを愛しているロイだが、ハボに…。いや、ハボは被害者なのですが。)
- 上下につながりはありません
「紅」 (エドロイ) - 09.1.7up - (久しぶりに司令部に来た兄さん)
【単発 ロイエド】 - (焦れたロイにレイプされるエド。18禁のレイプものですんで、ご注意下さい)
「赦」 Act.1 - 09.1.7up
「赦」 Act.2 - 09.1.7up
【単発 ハボロイ】
「憂」 - 14.10.16.up - (ロイとハボックの阿呆らしいすれ違い)
「今更」 - 09.1.7up - (自分の想いに気付くロイ)
「蜜」 - 09.1.7up - (恋人になった後。エロシーンばっか)
「背」 - 09.1.7up - (ハボの背中に惹かれるロイ)
【「錯」シリーズ】 - ハボロイオンリーです。
イシュヴァールでの経験がロイに与えたものは…。
- 今はなき某数字SNSで、2007年9月から書いていたものです。
「錯」 Act.1 - 09.1.7up
「錯」 Act.2 - 09.1.7up
「錯」 Act.3 - 09.1.11up
「錯」 Act.4 - 09.1.11up
「錯」 Act.5 - 09.1.12up
「錯」 Act.6 - 09.1.16up
「錯」 Act.7 - 09.1.16up
「錯」 Act.8 - 09.1.17up
「錯」 Act.9 - 09.1.17up
「錯」 Act.10 - 09.1.18up
「錯」 Act.11 - 09.1.20up
「錯」 Act.12 - 09.1.21up
「錯」 Act.13 - 09.1.24up
「錯」 Act.14 - 09.1.27up
「錯」 Act.15 - 09.1.29up
「錯」 Act.16 - 09.2.1up
「錯」 Act.17 - 09.2.6up
「錯」 Act.18 - 09.2.12up
「錯」 Act.19 - 09.2.15up
「錯」 Act.20 - 09.2.20up
「錯」 Act.21 - 09.2.26up
「錯」 Act.22 - 09.3.9up
「錯」 Act.23 - 09.3.13up
「錯」 Act.24 - 09.3.20up
「錯」 Act.25 - 09.3.26up
「錯」 Act.26 - 09.4.7up
「錯」 Act.27 - 09.4.21up
「錯」 Act.28 - 09.5.6up
「錯」 Act.29 - 13.5.21up
「錯」 Act.30 - 13.5.22up
「錯」 Act.31 - 13.5.23up
「錯」 Act.32 - 13.5.26up
「錯」 Act.33 - 13.5.31up
「錯」 Act.34 - 13.6.2up
「錯」 Act.35 - 13.6.17up
「錯」 Act.36 - 13.6.19up
「錯」 Act.37 - 13.6.26up
「錯」 Act.38 - 13.7.11up
「錯」 Act.39 - 13.7.14up
「錯」 Act.40 - 13.7.19up
「錯」 Act.41 - 13.7.27up
「錯」 Act.42 - 13.8.13up
「錯」 Act.43 - 13.11.22up
「錯」 Act.44 (完結) - 13.11.26up
「聴」 (『錯』番外編) - 最終話後、ツケを支払に行くロイ。
Vol.1 - 17.1.7up
Vol.2 - 17.1.7up
【瑠】シリーズ - 【注意書きです】
これはいつものロイエドロイと、また原作とも異なるパラレルのロイエドロイSSです。
(すみません!最初間違えて『ロイエド』と書いてましたが、ロイエドロイです。)
原作またはアニメ設定以外受け容れないと言う方はお読みにならないで下さい。
最初は「人魚」のタイトルでしたが、後に「瑠」にしました。
「瑠」 Act.1 - 16.12.30up
「瑠」 Act.2 - 17.1.1up
「瑠」 Act.3 - 17.1.3up
「瑠」 Act.4 - 17.1.11up
Gift - 頂き物など
取調室にて -
ヒューズ×ロイ from 志乃さま
give me more -
ヒューズ×ロイ from 志乃さま
> 【遊 シリーズ】 > 「遊」 Vol.10以降(ロイエドVer.) > 「遊」vol.18
「遊」vol.18
08.12.7up
「あ、そうだ。」
食事の片付けも終わり、オレはビール、男はコニャックを飲んでいた。
相変わらずもったいない飲み方だ。
「ん?なんだね?センセイ。」
「明日オレ、ここんち掃除するからさ。
 触って欲しくないモンとか有ったら言ってくんないか?」
「別にそんなものは無いな。
 そうだ。センセイにまだ家を案内していなかったな。
 まあ後は私の書斎と書庫だけだが。」

男のマンションは4LDKらしい。
独り暮らしで贅沢なモンだ。
そういえば、寝室とオレの部屋とされたところしか見てない。
「書庫!?オレ見たい!」
すげえ。オレの一番欲しいモノだ。
「おいで。」

最初に男の書斎を見る。
パソコンの乗った重厚な机を挟んで、オレの部屋と同様に両壁に本棚がそびえている。
「引き出しの中と机の上の書類さえ動かさなければ、後はセンセイの好きにしていい。」
「ん。わかった。」
この部屋にも随分本があるけど、これ以外にも沢山?
ワクワクしてきた。
オレは本が大好きだ。
出来ることなら蔵書の多い図書館にでも住みたいと思っている。

「ここが書庫だ。」
案内されたのは、全ての壁と更に部屋の真ん中に2列の本棚があり、入り口近くに小さなテーブルと座りやすそうなソファのある部屋だった。
「うわあ。すげぇな。」
小説や図録も有ったが、やはり一番多いのは税法や会計の本だった。
「これでも古いモノは処分するようにしているのだがね。
 どうしても増えてしまう。」
古い税法の本なんか取っておいても仕方がないからな。
それでも書棚には魅力的な本が詰まっていた。

「あ、『自己金融の話』だ!」
深いブルーの本を手に取る。
「ああ。減価償却を中心としたものだな。興味深かった。」
「うん。オレ前に途中までしか読めなくて、ずっと読みたかったんだ。
 本を一冊書いちゃうなんて、減価償却に対する愛情に溢れてるよな。」
「それは面白い解釈だ。」
その本を男が受け取り、テーブルに置く。
オレがすぐに読めるようにだろう。

「あー!イノー先生の『最新財務諸表論』!懐かしい!
 オレこの先生の考え方大好きだ!」
先程のものよりかなり厚い本をオレは手にする。
「ほう。センセイの取得原価主義に偏った考え方はイノー先生の影響か。
 そういえば似ているな。」
「うん。オレにとって先生の意見は極当たり前に思えるんだ。
 これがオレの通説だな。」
「今や時価主義やキャッシュフローの時代だぞ?」
「それでも。取得原価主義の方が理論的に整合性があるだろ?
 投下資本の回収余剰は男のロマンだ!」
「男のロマンねぇ。」
先程の本と同様にテーブルに置く。
明日絶対これ読もう。

「しかし意外だな。
 センセイは実務の方を重視するのかと思っていた。
 こういう会計理論も好むのか。」
次々と気になる本を抜き出していくオレに男が言う。
どうしても好みは税法より会計関係になる。
「うん。お客さんに迷惑掛けたくないから、仕事は早くこなしたいだろ?
 だからいつもは仕事を進めるだけで手一杯なんだけど、オレ本当は会計理論を突き詰めて行くのが好きなんだ。
 ま、机上の理論だけどな。」
「最近の会計理論も学んだかね?」
「あー。それはしてない。
 オレ、まだ企業会計原則と商法が仲悪かった頃の知識しかないんだ。
 学生の頃は資本の理論が一番好きだったけど、もう変わっちゃったんだよな。」

所詮会計理論など、実務には関係ないのでどうしても後回しになる。
「だから新会社法の勉強をしなさいと言っているだろう?
 顧客の手続きも大きく変わったぞ。」
「うん。実務として必要なのは解ってる。
 でも、オレは今の的はずれな政策は納得できないな。
 純資産を減らしすぎてる。」
「資本金ゼロの会社設立や自己株の保有のことか?」
「ん。資本の空洞化を進めて、会社を弱体化してるだけだ。
 オレならそんな会社には金貸さねぇ。」
「政府はIT産業を基準にしているからな。資本の確保は足枷になる。
 ま、私も君と同意見だがね。」

こういう話が思う存分できて、尚かつオレよりも今現在の知識を持っている。
オレのための努力なんて言ってたけど、そうでなくても男の知識はすごかったに違いない。
そんな男の存在はすごく嬉しい。
アルはどちらかというと実務重視で、机上の理論を嫌いがちだ。
親父の会計理論は古すぎて話にならない。

「本にラインとか引いてもいいか?」
人によっては本を汚すのを嫌がる。
オレも本は大切だから、持ち主の意見を聞いておく。
「ああ。かまわないよ。
 私も既に書き込みをしている。気にせず好きにしたまえ。」
ああ。この家、宝の山だな。
冬休みは好きなだけ本を読もう。

満足気なオレに男が言う。
「どの本でもセンセイの好きに読んでかまわないし、君の部屋に持って行ってもいい。
 ただ、寝室に持ち込むのだけはやめて欲しいな。」
「ああ。」
「それから。」
「まだなんかあるのか?」
「放っておかれるのは哀しいからね。
 君が本を読んでいる間、私に触れさせること。
 これが条件だ。」

ああ? この痴れ者、今なんつった!?
「それじゃ落ち着いて読めねぇだろ!?
 あんた何考えてんだ!?」
オレはゆっくりこの宝を堪能したい。
邪魔されるのはイヤだ。
「別に君が読む邪魔をする気はないよ。
 ただ、私の膝の上で読んだりしてくれたら嬉しいなと思ったんだ。」
ああ。こいつ酔ってんな。
そんでも記憶はなくさないんだよな。

「オレが読むのを邪魔しないならいい。
 でも気を散らすようなことはすんな。
 解るか?」
「ああ。承知した。」
約束は取り付けた。
これで充実した休みが送れそうだ。
オレは上機嫌だった。

「じゃ、オレ風呂に入ってくるから。」
男は夕方風呂をすませたらしい。
「ん。私はもう寝るよ。」
寝室に消えていった。


ブクブクと鼻まで風呂に浸かりながら考える。
料理中には結論の出なかった男の性欲処理についてだ。
口…はムリ。
手…かな?
きっとあいつは「ヘタだから自分でヤる。」とは言わないだろう。
問題はヘンにオレが手を出してあいつの理性がぷっつん来ることだよな。
もう無体なことはしないと思うけど。
…思いたいけど。

しかし女の人は初めての時は痛いけど、次からは気持ち良くなくてもつらくはないっていうよな。
男もそうかな。
そしたら、次はもちょっと苦しくないかな。
つか、段々に慣らすこととか出来ないのかな。
風呂から上がり、再びビールを飲みながら考察を続ける。
もし時間を掛けてオレの躰を慣らして行くことが出来るんなら男に相談してみよう。
自分では難しそうだから。


男が眠っているかも知れないので、そっとベッドに入る。
「ん…。センセイ…?」
「あ、起こしちゃったか?ごめん。」
「いや…。」
そのまま寝てくれればいいと思う。
確かに男がイかせてくれた後はゆっくり朝まで眠れるけど(それでも2,3回は瞳を覚ますが、そんなのオレにとっては起きた内に入らない)。
「おやすみ。」
男の額に軽いキスを落とす。
こいつは明日も仕事なんだから。
オレは休みだから眠れなくてもかまわない。
でも男はオレの頬にキスをして、手を匍わせてきた。

「なぁ。あんた明日も仕事だろ?もう寝ろよ。」
「ん…。でもセンセイに触れたい…。」
「明日の夜に好きなだけ触れよ。今日は寝ろ。」
仕事納めに寝不足はマズいだろ?
そう思ったオレの考えは甘かったようだ。
「明日は仕事納めで、つまらない会議があるんだ。
 せめて会議の間、センセイのことを思い出していたい。」
ちゃんと仕事しろよ。
つか、署内でトップの男が会議中、妄想に耽るつもりか?
オレはセントラル税務署の組織全体に不安を覚えた。

相変わらずオレを怯えさせないようにそっと触れてくる。
こいつの忍耐力ってすげえよな。
オレばっか感じさせても満足できる訳ないのに。
本当にオレのこと大切にしてくれてんだな。
男の気持ちは嬉しいけど哀しい。
こんな一方通行じゃオレだってイヤだ。

「ん…っ!…なあ。」
上がってしまった息を抑えて話しかける。
「どうした?センセイ。いやだったか?」
すぐに手を止められ、気遣わしげな表情を向けられる。
ああもう。そうじゃなくて。
「違…。オレばっかじゃなくて…あんたも感じて欲しいなって。」
「センセイ!?」
男が目を瞠る。
「や!あのっ!まだ!まだ無理だけどっ!
 その…。オレばっかりしてもらうのはイヤだ。」

そっとそっと抱きしめられる。
「気持ちは嬉しいよ。でも無理をしないで欲しい。」
「無理はしてない。
 んと…口でするのはまだちょっと怖いんだ。
 オレ、どうしたらいい?
 却って我慢させちゃって、あんたがつらくなるか?」
理性を抑えにくくしてしまうのはやっぱり怖い。
「…本当に無理をしていないか?
 私のことは気にしなくていいのだよ?」
「してない。無理だと思ったらすぐ言うから。」
言う前に躰が強張ったらこいつ傷付くんだろうな。
それがちょっと不安だ。

男はなにか考えているようだ。
「センセイ。私のに触れられるか?」
心配そうに聞いてくる。
うん。触るくらいなら大丈夫だと思う。
オレにも同じモン付いてんだし。
そっと男のモノに触れて握ってみる。
その堅さとサイズにちょっと躰が硬くなりかかった。

いや。大丈夫だ。
ほら。オレ!
合い言葉は『オレにも同じモン付いてんだから!』だ!
却って初めて手で触れることが良かったのかも知れない。
手で感じるのとあの行為とは、直接結びつかなかった。
「大丈夫だ。ほら。」
調子に乗って両手で包み込んだ。
「っ!」
あ、強く握りすぎたか?
力を抜いて右手で扱いてみる。
まだ乾いた状態だから、痛くないようにそっと。

しばらく手を動かしていたが、ロクに先走りも出てない。
うん。解ってたけどさ。
オレあんま上手くないよな。
いや、オレが下手なんじゃなくて男が上手すぎるんだと思う。
最初に手でされたとき、すごく感じたモンな。オレ。
男の息もあまり乱れてない。
いや、萎えてるって訳じゃないんだけど。

えーっと。
どうしよう。
「あの…さ。」
なんかいい方法知らねぇか!?あんた。
教えてくれよぅ!
「センセイ。膝に乗れるか?
 私のが触れるが、大丈夫そうか?」
お。先方も局面の打開に出た模様だ。
オレはあんたの戦法にかけるぜ。
「膝に乗るってどうやって?」
起きあがって胡座を掻くように脚を開いた男がオレを引き寄せる。
「足を開いて、跨って…そう。」
向かい合って男に跨った。

腹と腹が触れて…っていうよりは、互いのモノが触れ合う。
男の屹立したものを自分のモノで感じて、
「…っ!」
思わず躰が強張ってしまう。
「! やはり…」
「大丈夫だ!」
オレを離そうとした男にかぶせるように言う。
ここで負けちゃダメだ。
ずっと我慢させるなんてイヤだ。
ゆっくりと深呼吸する。
大丈夫だ。
大丈夫だ。

あ、そうだ。
「なあ。ショチョウ。舌、出して?」
「センセイ?」
「いいから。舌出せよ。」
かつてのオレのように男が舌を出す。
それにオレも舌を出して触れ、摺り合わせる。
直接神経に響くような快感。
あの時感じたじゃないか。
もっともっと何かが欲しくなるキスだって。

あの時男とオレを戻らせなくしたキス。
それならきっとこれは先へ進ませるキス。
吸われないままの唾液を触れ合ったお互いのモノに垂らして。

「ん…。」
やがて自然にオレの腕は男の首に廻り、以前のように躰を擦り寄せていた。
もうそれに気付いても離れる必要はない。
唾液はオレの胸に落ちるけど。
男の腕もオレの腰とうなじに廻され、強く抱きしめられる。
オレの躰の強張りはすっかり取れていた。

今度は男が先に離れた。
「は…もうこれ以上はダメだ。」
息を乱した男は耐えるように目をきつく閉じている。
理性と欲望が戦っているんだろう。
オレは余計にこの男を苦しめてしまったんだろうか?
とにかくイかせてやりたい。

「この姿勢になってどうするんだ?」
乱れた息を抑えて、殊更事務的に聞く。
少しは男の理性が有利になるように。
「…。…ああ。二人で感じられればと思ってな。
 なにしろセンセイだけにご奉仕戴くのは申し訳ない。」
不自然な間が空いたが、男も平素のような声で返してくる。
きっと無理をしているんだろうけど。
それはお互い触れてはいけないことだ。
今は。

男がベッドサイドチェストの引き出しから小さいビンを取り出した。
「なにそれ?」
中身はどろりとした液体のようだ。
「…増粘多糖類の類だ。ゲル化剤とも言う。」
「あ!?食品?」
な訳ないか。
「いや、天然由来の成分だが、食用ではないな。」
「や、ごめん。で、それをどうすんだ?」
先日男の指に付けられ、オレに塗り込められた潤滑剤だと解った。
それを誤魔化そうとする優しさが嬉しいけど、ちょっとマヌケだとも思う。

男はビンの蓋を開けると、未だ触れ合っているオレ達のモノに垂らしていく。
「! つめて!」
「すぐに熱くなる。」
とろり、と垂れていく薄桃色した粘性の液体は酷く扇情的だ。
「センセイ。手を出してくれたまえ。」
オレの手で男のとオレのとをまとめて握らせた。
その上から男の手が更に握り込む。
その手をゆるゆると上下に動かされて。

「! ぁあっ!」
背が反り返った。
男のモノとオレの手との湿った摩擦が突き抜けるような快感を生む。
くちゅくちゅと上がる音が耳を犯し、触れている手が脳を犯す。
思わず腰が動いてしまう。
まるで女のナカに突き入れるように。
その行為が更にオレのモノへ刺激を与える。
「ぅあ…は…ぁ!」
男の手が握り込む力に強弱を付けて、それがもっとオレを感じさせる。

いつの間にかオレは腰を激しく動かしながら、手の動きも早めていった。
「っ…くっ!」
目の前が真っ白になってオレは精を放った。
しばらくその後もオレのをも握り込んだまま手を動かしていた男が
「ぁ…!っ!」
オレに遅れてようやくイった。

お互いが息を整えるまで、座ったまま抱き合っていた。
何度もキスを繰り返しながら。
男が感じてイったのが嬉しい。
「センセイ?」
オレの髪を梳きながら男が言う。
「ん?」
気怠い感覚が気持ちいい。
「ありがとう。」
その言葉に少し笑いがこぼれた。
「礼をいうようなモンじゃねぇだろ?
 こういう行為はお互い様だ。」
「それでも。ありがとう。嬉しかったよ。」
少し抱きしめる腕に力が込められる。
いつかまた男に抱かれて、もっと喜ばせたいとその時思った。

「あのさ。女の人って2度目からはつらくないって言うじゃないか。
 男もそうなのか?」
それならきっと、また男を受け容れられるだろう。
今日のコトでオレはちょっと自信を持った。
「…センセイ。申し訳ないが、男は毎回つらい。」
はい。
『一言で落ち込ませろ!』コミュが有ったら、初登場第一位のコメントデスネ。

「いや。それでも快感を感じ始めれば、最初はつらくてもかなり気持ちがいいモノらしいぞ!?」
もうタマシイが抜けてますから何を言ってもムダでーす。
「センセイ!? 大丈夫か?」
だめデース。
「ん…。寝よう。明日のことは明日考えようぜ。」
かつて観た映画の主人公のような台詞を吐いて、オレは眠ることにした。




Vol.19

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