F.A.SS -
「鋼の錬金術師」の二次創作
【基本のエドロイSS】 -
原作をベースにした、エドロイSSです。
時系列順に並んでいます。
(下に行くほど後の出来事になります。)
誰がために - (まだロイの片想い)08.06.25up
- (両想いでもお互い気付かない)08.6.26up
水の中の月 - (告白)08.6.29up
- 08.6.30up
- (初めての触れ合い。大佐が咥えるのみ)08.7.1up
- (初体験)08.7.11up
蹟(しるし) - (大佐から初めてのキスマーク) 08.7.16up
シチュー - (大佐が熱を出さなくなったあたり)08.7.16up
- (大佐が壊れてます。ちょっとギャグ)08.7.22up
フソク - (豆がいないと闇がぶり返す大佐)08.7.22up
摂取 - (「フソク」の続き。相変わらず闇に囚われている大佐と帰ってきた豆)
08.7.22up
Turn R
Turn E
幕間 - (ごめんなさいなギャグ)
08.8.8up
- (ヤってるときのエドVer. 「虚」と対になってます。)
08.8.8up
- (ヤってるときのロイVer. 「彩」と対になってます。)
08.8.8up
- (「虚」の続き。どーしようもなくグダグダなロイ)
08.8.8up
- (兄さんと酔ってご機嫌の大佐。未然ジェラシー)08.10.25up
- (鬼畜い兄さん♪後、ヘタレ)08.10.25up
【遊 シリーズ】 -
パラレル。税務署長のロイと税理士のエド。

このSSは途中からRPG方式で、「遊」(ロイエドVer.)と「遊 脇道」(エドロイVer.)に枝分かれします。
但し、「遊 脇道」は「遊」本編と「遊 番外編」数本を包括した入れ籠構造になっておりますので、
「遊」→「遊 番外編」→「遊 脇道」の順に読まれることをお奨めします。
その順番にupして行きます。

「遊」vol.1〜vol.9 - 「遊」「遊 脇道」とも枝分かれするまで共通です。
「遊」vol.1 - 08.11.12up
「遊」vol.2 - 08.11.12up
「遊」vol.3 - 08.11.13up
「遊」vol.4 - 08.11.13up
「遊」vol.5 - 08.11.13up
「遊」vol.6 - 08.11.16up
「遊」vol.7 - 08.11.16up
「遊」vol.8 - 08.11.16up
「遊」vol.9 - 08.11.16up
「遊」 Vol.10以降(ロイエドVer.) -
ロイエドがお嫌いな方も、これはこの後のエドロイver.がこの「遊」のロイエドバージョンを含んだものですので、お読み戴ければ幸いと存じます。

「遊」vol.10 - 08.11.19up
「遊」vol.11 - 08.11.19up
「遊」vol.12 - 08.11.19up
「遊」vol.13 - 08.11.19up
「遊」vol.14 - 08.12.7up
「遊」vol.15 - 08.12.7up
「遊」vol.16 - 08.12.7up
「遊」vol.17 - 08.12.7up
「遊」vol.18 - 08.12.7up
「遊」vol.19 - 08.12.7up
「遊」vol.20 - 08.12.7up
「遊」vol.21 - 08.12.12up
「遊」vol.22 - 08.12.12up
「遊」vol.23 - 08.12.12up
「遊」vol.24 - 08.12.12up
「遊」vol.25 - 08.12.12up
「遊」vol.26 - 08.12.12up
「遊」vol.27 - 08.12.12up
「遊」vol.28 - 08.12.12up
「遊」vol.29 - 08.12.12up
「遊」vol.30 - 08.12.12up
「遊」vol.31 - 08.12.16up
「遊」vol.32 - 08.12.16up
「遊」vol.33 - 08.12.16up
「遊」vol.34 - 08.12.16up
「遊」vol.35 - 08.12.17up
「遊」vol.36 - 08.12.17up
「遊」vol.37 - 08.12.17up
「遊」vol.38 (これで完結です) - 08.12.17up
「幻」 (「遊」 番外編)(エドロイ) - 08.12.17up - (旧テレビアニメのラストから映画シャンバラのその後。ロイVer.)
「惑」 (「遊」 番外編)(エドロイ) - 08.12.17up - (旧テレビアニメのラストから映画シャンバラのその後。エドVer.)
「遊 脇道」(エドロイVer.) - 「遊」Vol.10以降
こちらはエドロイバージョンのうえ、ロイが精神的に壊れてしまっています。
しかも暗いです。
弱いロイが厭だという方はお読みならないで下さい。
「遊 脇道」Act.1 - 08.12.17up
「遊 脇道」Act.2 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.3 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.4 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.5 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.6 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.7 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.8 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.9 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.10 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.11 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.12 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.13 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.14 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.15 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.16 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.17 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.18 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.19 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.20 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.21 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.22 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.23 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.24 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.25 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.26 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.27 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.28 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.29 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.30 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.31 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.32 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.33 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.34 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.35 - 08.12.26up
「遊 脇道」Act.36 - 08.12.26up
「遊 脇道」Act.37 - 08.12.26up
「遊 脇道」Act.38(とりあえず完結ですが、「澱」へ続きます) - 08.12.26up
「澱」 (「遊 脇道」完結話) - 08.12.26up - (「脇道」のロイVer. これで「脇道」の本編は終わりになります)
「寥」 (「遊 脇道」 番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (「幻」の割愛部分)
「仕」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (駅前相談するセンセイ)
「誤」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (ある日税務調査が…)
「加」 (「遊」番外編 エドロイでもどっちでも) - 09.1.7up - (本編に入れ忘れた生協の小ネタ)
「罪」 (「遊 脇道」番外編) - 09.1.7up - (そして今2人は)
「問」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (そして今2人はその2)
「策」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 16.12.29up - (あの夜の男は)
【その他 ロイ受】
「戯」 (ブラロイ) - 09.1.7up - (ロイにホムンクルスと知られ、別れを告げるブラッドレイ)
「蓮」 (キンロイ) - 09.1.7up - (イシュヴァールにて。意外にほのぼのかと…。)
「痴」 (エドロイ)(単発) - 09.1.7up - (淫乱ロイの純情)
「羞」 (エドロイ前提ハボロイ)(「痴」シリーズ?) - 09.1.7up - (「痴」の続編。エドを愛しているロイだが、ハボに…。いや、ハボは被害者なのですが。)
- 上下につながりはありません
「紅」 (エドロイ) - 09.1.7up - (久しぶりに司令部に来た兄さん)
【単発 ロイエド】 - (焦れたロイにレイプされるエド。18禁のレイプものですんで、ご注意下さい)
「赦」 Act.1 - 09.1.7up
「赦」 Act.2 - 09.1.7up
【単発 ハボロイ】
「憂」 - 14.10.16.up - (ロイとハボックの阿呆らしいすれ違い)
「今更」 - 09.1.7up - (自分の想いに気付くロイ)
「蜜」 - 09.1.7up - (恋人になった後。エロシーンばっか)
「背」 - 09.1.7up - (ハボの背中に惹かれるロイ)
【「錯」シリーズ】 - ハボロイオンリーです。
イシュヴァールでの経験がロイに与えたものは…。
- 今はなき某数字SNSで、2007年9月から書いていたものです。
「錯」 Act.1 - 09.1.7up
「錯」 Act.2 - 09.1.7up
「錯」 Act.3 - 09.1.11up
「錯」 Act.4 - 09.1.11up
「錯」 Act.5 - 09.1.12up
「錯」 Act.6 - 09.1.16up
「錯」 Act.7 - 09.1.16up
「錯」 Act.8 - 09.1.17up
「錯」 Act.9 - 09.1.17up
「錯」 Act.10 - 09.1.18up
「錯」 Act.11 - 09.1.20up
「錯」 Act.12 - 09.1.21up
「錯」 Act.13 - 09.1.24up
「錯」 Act.14 - 09.1.27up
「錯」 Act.15 - 09.1.29up
「錯」 Act.16 - 09.2.1up
「錯」 Act.17 - 09.2.6up
「錯」 Act.18 - 09.2.12up
「錯」 Act.19 - 09.2.15up
「錯」 Act.20 - 09.2.20up
「錯」 Act.21 - 09.2.26up
「錯」 Act.22 - 09.3.9up
「錯」 Act.23 - 09.3.13up
「錯」 Act.24 - 09.3.20up
「錯」 Act.25 - 09.3.26up
「錯」 Act.26 - 09.4.7up
「錯」 Act.27 - 09.4.21up
「錯」 Act.28 - 09.5.6up
「錯」 Act.29 - 13.5.21up
「錯」 Act.30 - 13.5.22up
「錯」 Act.31 - 13.5.23up
「錯」 Act.32 - 13.5.26up
「錯」 Act.33 - 13.5.31up
「錯」 Act.34 - 13.6.2up
「錯」 Act.35 - 13.6.17up
「錯」 Act.36 - 13.6.19up
「錯」 Act.37 - 13.6.26up
「錯」 Act.38 - 13.7.11up
「錯」 Act.39 - 13.7.14up
「錯」 Act.40 - 13.7.19up
「錯」 Act.41 - 13.7.27up
「錯」 Act.42 - 13.8.13up
「錯」 Act.43 - 13.11.22up
「錯」 Act.44 (完結) - 13.11.26up
「聴」 (『錯』番外編) - 最終話後、ツケを支払に行くロイ。
Vol.1 - 17.1.7up
Vol.2 - 17.1.7up
【瑠】シリーズ - 【注意書きです】
これはいつものロイエドロイと、また原作とも異なるパラレルのロイエドロイSSです。
(すみません!最初間違えて『ロイエド』と書いてましたが、ロイエドロイです。)
原作またはアニメ設定以外受け容れないと言う方はお読みにならないで下さい。
最初は「人魚」のタイトルでしたが、後に「瑠」にしました。
「瑠」 Act.1 - 16.12.30up
「瑠」 Act.2 - 17.1.1up
「瑠」 Act.3 - 17.1.3up
「瑠」 Act.4 - 17.1.11up
Gift - 頂き物など
取調室にて -
ヒューズ×ロイ from 志乃さま
give me more -
ヒューズ×ロイ from 志乃さま
> 【遊 シリーズ】 > 「遊」 Vol.10以降(ロイエドVer.) > 「遊」vol.24
「遊」vol.24
08.12.12up
夕べしこたま酔っぱらっていたオレは、朝になって記憶を無くしてないことに今更ながら嫌悪する。
寝やすいんだか寝にくいんだか解らない(それでも朝まで軽い目覚めしかなかったんだから寝やすかったんだろう)フトンの中でオレは頭を抱えた。

いや。
男のモノを咥えることに恐怖心を持たなかったのはかなりの前進だ。
それについてはまた自信を持てた。
こいつを我慢させるだけじゃなかったことをよかったと思う所もあるし。
確かに。
でもなぁ。オレのアイデンティティがどこか許してない。

そんでもこの時目覚めた男が
「おはよう。センセイ。」
と言った後に嬉しそうに笑って
「昨日はありがとう。」
と言っただけで、すべてがどうでもよくなってしまったのが嬉しいんだか嬉しくないんだか。
でもホントにどうでもよくなってしまったんだ。
「はよ。そりゃよかったな。」
照れくさくて顔を背けてしまったけれど。
うー。
我慢させずにイかせられたんだから、いいよな。よかったんだよな。

ユカタはヒモだけ胴に残っているが、前が全部はだけてほとんど羽織っているだけの状態になっている。
これでしっかり乱れず眠れる人っているのかな?
そんなことを考えながらふと視線の先のもう一組敷かれたフトンを見て、オレは立ち上がった。
まったく乱れていないこれって、マズいよな。
ただでさえどう見られるのか解らない男2人組が一組のフトンしか使わないってのは…。
オレは隣の掛け布団をはがしてごろりとフトンに転がった。

「なにをしているのかね?」
ごろごろとイモムシのように転がるオレに聞いてくる。
「んー?フトン乱してんの。綺麗なまんまじゃマズいだろ?」
男がくすくすと笑いながら
「そんなことを気にするのか。」
こちらに来たかと思うとそのまま組み敷かれた。

「朝からサカってんじゃねぇよ。」
「君に協力をするのだよ。」
「いらねぇ…んっ。」
それでもやはり優しいキス。
ほどいた髪に差し込まれる指が気持ちいい。
「ふ…。」
耳殻に舌を匍わされて息が挙がる。

「ぁっ!」
耳たぶに歯を立てられて声を挙げるのと同時に
「おはようございます。お食事の用意に参りました。」
隣から声が聞こえた。
宿の人が勝手に入ってくるのか!?
固まったオレに手を匍わせたまま男が
「着替えたら行くので用意をお願いします。」
隣へ声を掛ける。

またオレの耳元にキスをする男に
「やめろよ!人が…。」
隣に聞こえないよう囁き声で言ってるのに
「そうだな。口を塞いでいないと聞こえてしまうね。」
しれっと答えやがる。
「離れろよ。」
「…フスマは紙を貼っただけのものだそうだ。
 こんな会話も聞こえているかも知れないよ。」
暗に話すなっつってんのか?

押し戻そうとしても男の躰は動かない。
せめて声を挙げたくなくてオレは手で口を塞いだ。
それでもきっと抑えきれないだろうから、もうやめて欲しいのに。
そんなオレの気持ちなんか全く考えもしない男はオレの鎖骨に舌を匍わせてその指はオレの胸元を彷徨っている。
「っ!」
胸の先を抓まれ、躰が震えた。
指で弄んでいるのと反対の胸を男の舌が舐る。
「…!」

これはマズい。
オレは男を離そうと左手で頭に触れた途端
「〜〜っ!!」
先を甘咬みされて、躰が跳ねる。
思わず両手で口を押さえた。

フスマを隔てただけの隣からはかちゃかちゃと食器の音が聞こえる。
早く出ていって欲しい。
いや、それよりこいつにやめて欲しい!
蹴ってやろうと男の腹の下に爪先を差し込んだら、そのまま膝裏に手を入れられて上へ持ち上げられてしまった。
このままではオレのモノを握られるか咥えられるかだ。

オレは口を両手で押さえたまま躰を半回転させ、うつ伏せになった。
これで手を出せまい。
しかし男はオレのユカタに手を掛けるとそれを引き下ろして肩から背中までを露わにする。
「は…婀娜っぽい姿だな。」
背後から耳元に囁かれる声にも躰が震えてしまう。

そしてオレは背中を向けたことが逆効果だったと気が付く。
だってマズいじゃん。
背中強く吸われたらまた声が抑えられなくなる。
あの高い声が挙がるんだよな。
背に男の指と舌を感じて躰が反り返る。
ダメだ!
うつ伏せ、不採用!
こいつの頭をつぶしてしまえたらと期待しつつ、ごろりと仰向けになった。
ちっ!よけられたか。

いっそ部屋中転がって逃げ回ろうか。
そう思ったのが解った訳でもあるまいに、男はオレの両方の脇の下に腕を入れて来た。
…逃げられん。
オレは両手で口を押さえたまま男を睨む。
「かわいいな。センセイ。」
全く堪えない笑顔で囁かれた。
オレの意志って…?

そのまま男の手がオレのモノに触れてくる。
「〜〜!!」
頭を振ってやめろと伝えてるのになんだ!?
その陶然とした嬉しそうなツラは!?
男の手の動きに合わせて躰が反応してしまう。
どうしてこんなのイヤなのに、いつもより感じてしまうんだろう。

オレの目から生理的な涙が流れた。
それを舐め取りながら
「人がすぐ側にいるのに。それで感じるのか?
 淫らな躰だ。」
耳にいつもより低い声が落とされ、躰が大きく跳ねた。
こいつ!
オレが厭がると知ってて言ってやがる。
「そんなところも愛しいよ。」
フォローになってねぇよ!
も、やだ。
ナカイさん、早く出ていって下さい。

ぴちゃ、と男の舌がオレのモノを舐める音が響いて心配になる。
隣に聞こえはしないだろうか?
オレは上がりそうになる声を必死に手で塞いで抑える。
恥ずかしさと不安と快感に追いつめられて、いつも以上に感じてしまう。
すぐに煽り立てられ、イきそうになる。
その時には声を抑えることは出来ないだろう。
片手で口を塞いだまま、もう片方の手で男の髪に指を差し入れた。

オレの躰の反応でもイきそうだと解っていたのだろう。
オレの耳元に口を寄せてくる。
「イきたくないのか?」
オレは無言のまま頷いた。
当たり前だ。
他人にイくときの声なんて聞かれたくない。
だからもうやめろと伝えたつもりだった。

「解った。」
ホッとしたのもつかの間、また男に咥えられて思わず声が上がりそうになる。
やめろっつってんのに!
もうイく!
大きく腰が動いた瞬間、根元を強く握り込まれた。
「…っ!?」
襲ってくるはずの射精感を抑えられ、それでもまだ咥えられていたオレのモノに舌を匍わされてちょっと意識が飛んだ。
…いや、確かにイきたいくないとは言ったよ。言ったさ。無言でだけど。
でもそれってこういうことじゃ…。
躰はもうイきたいのに、抑えられてイけないなんて初めてだった。
もどかしくて、つらくてまた涙が溢れてくる。

もう限界…。
声を上げそうになったとき
「それでは失礼致します。」
ようやく隣から人が消えた。
「は…。」
口から手を外して体側に投げ出した。
気が抜けるかと思ったが苛まれた躰がそれを許してくれない。
まだ男の指は根元を強く握ったままだ。

「なあ。も…」
男が顔を上げてかぶせるように言う。
「どうして欲しい?きちんと強請ってくれないと解らないよ?」
…今まではイきたいと、普通に言っていた気がする。
しかし改めて『ねだれ』と言われると急に恥ずかしくなる。
オレが快楽を男に乞うているようで。
「…。」

イかせて欲しい。
指を放して欲しい。
もっと咥えて感じさせて欲しい。
…ダメだ。言えねぇ。
どうしてだ?
今までは言えてたよな?
それでも躰はイきたくて焦れている。
せめて指を放して欲しい。
「〜〜!」
イけないつらさで涙がとまらない。

なにも言えないオレに男が顔を近づけてくる。
「どうして欲しい?言わないとこのままだよ?」
それとも、とオレの唇の輪郭に舌を匍わせて
「このままにして欲しいのかな?」
うっとりとした笑顔で酷いことを言う。
「…んなわけ…。」
ひくひくとしゃくり上げで喉が鳴る。
躰は別の意味で痙攣起こしてるけど。
「ん?ちゃんと言ってごらん?」
こいつはオレが言わないと本当にこのままにするだろう。
そういうヤツだ。

「や…もぉ…。」
涙声なのが情けない。
「もう?」
涙でぐじゃぐじゃになったオレの顔を見た男の躰が震えるのがわかった。
「ああ…。かわいいよ。センセイ。」
オレはそれどころじゃないよ。
「さあ。私にどうして欲しいのかおねだりしてみたまえ。」
脚の間にまた下がってまたオレのモノに舌が匍わされる。
「やっ!もぉ…もうイかせて…!」
オレは恥を捨てた。
だってもう耐えられない。

「きちんと言えたね。いい子だ。」
ご褒美だよ、と指が弛められ奥まで咥えられた。
「は…ぁっ!ぁあ…っ!」
背中から脳髄まで何かが走り抜けて、あっと言う間に達してしまった。
オレがイったあともすべてを飲み尽くすように根元から先まで何度も唇で扱かれる。
その度にオレはびくびくと躰が痙攣するのを抑えられない。
しゃくり上げるせいで、うまく空気が吸えなくて苦しい。
息を整えるまでにいつもより時間を食ってしまった。


「センセイ。まだ怒っているのか?」
オレは何も応えず朝メシをぱくつく。
怒ってるに決まってるだろう?
あんな…あんなこと…。
思い出して紅くなってしまった顔を見られたくない。
オレは最後まで無言でメシを食い終わると風呂へ向かった。

昨日のうちに積もった雪に、晴れ上がった陽の光が反射して眩しい。
でもすごく綺麗だ。
風呂の縁に腕を掛けて雪に埋もれた庭を見るとも無しに眺めていた。

…昨日だって。
他の客がいるかも知れないのに触れてきた。
オレを誰にも見せたくないとか言うクセに。
声は聞かれてもいいのか?
いや、聞かせたくないって言ってたよな。
だいたい確かあいつ、自分はオレのモンだとかオレの好きにしていいとか言ってなかったか?
好き勝手されてんのはオレの方だと思うんだけど。
いや、決定的にオレが嫌がることはしないでくれてるけども。

男が近づいてくる気配がする。
絶対無視してやる。
オレは怒ってるんだ。
また後ろから手を回してきたら払い除けてやる。

「センセイ?」
「…。」
オレは振り向かないし応えもしない。
男は湯に浸かりながらもオレに触れては来ない。
「私は謝る気はないよ。」
はぁ!?
なんですと!?
反省ナシですか!?

「機嫌を直してはくれないか?」
無茶言うな!
あんなことをフツーのこととして受け止めろってか!?
きっとオレの顔には今青筋が浮かんでる。
「ただ…もっと私を欲しがってもらいたかったんだ。」
あ!?
「いつも無理に付き合わせているから。
 君が望まないのに私の欲で君に触れているだけだから。」
え?
オレいつもすげぇ感じてるけど?
つか、オレばっかり感じててあんたにすまないとか思ってるけど?

「だからもっと感じて、私に触れて欲しいと思ってくれたらと…。」
声が震えてる。
こいつ、泣いてんのか!?
オレは思わず振り向いてしまった。
俯いた男の表情は見えない。
「おい。顔上げろ。」
男は泣いてはいなかったがどこか痛むような顔をしている。
「ああ。こっちを向いてくれたのか。」
無理に笑う表情が痛々しい。
ふとオレの肩から力が抜けた。

「オレ…いつもオレばっか感じて、あんたにすまないと思ってる。」
「センセイ? そんなことはない。私が君に触れたいだけなんだ。」
「いや。オレ、あんたに触れられるのは好きだ。安心する。」
男の表情からも力が抜けたようだ。
「もう…怒ってない?」
「ん。許してやるよ。
 でももう、人のいるとこですんな。」
「…。」
あれ?なんで応えないんだ?
「だいたいさぁ。
 あんたを欲しがんのと、人がいるのに触んのと何の関係があるんだよ?」
疑問に思ったのはそこだった。

男はちょっと言い淀んだが
「…君は恥ずかしいと余計に感じるから…。」
ぶちっ!
昨日よりも太い何かが切れた。
「そんな理由であんなこと!?
 オレ声抑えんのに必死だったんだぞ!?」
「声を抑えると君は感覚が私に集中して、更に感じるしな。」
おい!

「も…!二度とオレに触んな!」
「センセイ!?」
今更焦った顔したって遅い!
「絶対許さねぇ!」
「センセイ!
 さっき許すと言ってくれたじゃないか。」
「オレは怒ってんの!」
持続しない怒りだけどな。
焦る男の額にキスを一つ落として
「今度人のいるとこでやったら、おもきし声をそいつ等に聞かせるぞ。いいのか?」
でことでこを合わせて言う。

ふ、と男が笑い
「それは困るな。わかった。
 もう人のいるところでは触れないから。
 …許してもらえるかな?」
「しょーがねぇな。今度だけだぞ。」
ああ。
ホントにオレ、こいつに甘いよな。

男は安心したのか大きく溜め息をついて、風呂の縁に背中を預けた。
両手で前髪を後ろに撫で付け、目を閉じている。
「センセイ?」
目を閉じたまま男が言う。
「んー?」
オレものんびり応える。
「愛しているよ。」

幸せそうな顔にオレも嬉しくなって男の腕にオレの腕を絡めた。
「…そか。」
素っ気ないなと自分でも思ったが男は気にしていないようだ。
「うん。君を愛している。」
「ん。」

ばさり、と雪の落ちる音が聞こえた。






Vol.25

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